「直感」でサービスを作った起業家の93%が死ぬ理由
「スクール事業はメリットが多いのは分かったけど、結局なんのスクールをすればいいんだよ!」
この叫びは、正しい反応です。
なぜなら、多くの起業家が「自分の得意なこと」「やりたいこと」でスクールを作り、誰にも求められないサービスを作って市場から消えていくからです。
その失敗率は、なんと93%。
今回は、その93%に入らないための「需要から逆算してコンセプトを決める」禁断の方法をお伝えします。
この方法を知っているかどうかで、あなたのビジネスの成否が決まります。。。
衝撃の真実。ビジネスの本質は「良いものを作ること」ではない
おさらいです。
サービスや商品を開発する際、多くの経営者が陥る最大の失敗。
それが「供給ファースト」の思考です。
自社の技術や強みを起点にサービスを設計してしまい、市場で受け入れられないという結果を招きます。
ビジネスとは、突き詰めれば「需要に対して供給を届ける活動」です。
この原則を理解せずにサービスコンセプトを決定すると、どれだけ優れた商品でも市場に受け入れられません。
成功するコンセプトの鍵は、顧客の「究極の需要」を特定し、そこから逆算して供給を設計することにあります。
超重要。ニーズ・欲求・需要の構造を理解しろ
コンセプト設計の前提として、顧客の願望構造を正しく理解する必要があります。
3つの概念の違い
| 概念 | 定義 | 特徴 | 導き出し方 |
|---|---|---|---|
| ニーズ(Needs) | 根源的な不満や欠乏状態 | 抽象的で第三者が作り出せない<br>(例:お腹が空いた、将来一人は嫌だ) | 欲求に対して「なぜ?」を繰り返す |
| 欲求(Wants) | ニーズが特定の対象に向けられた願望 | ニーズより具体的だが、対象は人によって異なる<br>(例:寿司が食べたい、焼肉が食べたい) | – |
| 需要(Demands) | 欲求がさらに具体化された願望 | 満たされるとプラスの感情が働く | 欲求を細分化、またはニーズを深掘りする |
なぜ「需要」を特定すべきなのか
多くの事業者は「欲求(wants)」レベルで供給を提供してしまいます。
例えば「痩せたい人」に対して「痩せる方法」を提供する、といった具合です。
しかし、これでは顧客の本当のニーズを満たせず、コンセプトが曖昧になります。
「需要」を見つけることが、売れるコンセプト・売れる商品につながるのです。
「供給ファースト」の危険性。なぜ93%が失敗するのか
供給ファーストで考えると、以下のような問題が発生します。
・コンセプトが抽象的で顧客に伝わらない ・競合との差別化ができない ・顧客の本質的な課題を見逃す ・市場ニーズとのミスマッチが生じる
結果として、どれだけ良い商品を作っても「誰にも刺さらない」サービスになってしまいます。
これが、93%の起業家が市場から消える理由です。
コンセプトテストの秘密。3×3×3の法則で市場を攻略する
「究極の需要」を見つけたら、次はそれが本当に市場に受け入れられるかをテストします。
一見難しそうですが…簡単なので落ち着いて聞いてください。
1. コンセプトを3パターン用意する
テストしたい異なるコンセプトを3つ準備します。
例えば、ヨガ講師の場合:
・コンセプトA:「産前へ無理なく戻すゆったり楽痩せの専門家」
・コンセプトB:「忙しいママのための時短ダイエットヨガ専門家」
・コンセプトC:「産後の体と心を整えるマインドフルネスヨガ専門家」
2. 各コンセプトにつき3種類のサムネイルを作成する
同じコンセプトでも、ビジュアル表現によって反応が変わります。
各コンセプトに対して:
・サムネイルパターン①:テキスト中心(コンセプトを大きく表示)
・サムネイルパターン②:人物・Before/After中心
・サムネイルパターン③:ベネフィットイメージ中心
合計9枚のクリエイティブを用意することになります。
3. 3週間かけてテストを実施する
・第1週:コンセプトA(3種類のサムネイルを3日間に分けて投稿)
・第2週:コンセプトB(3種類のサムネイルを3日間に分けて投稿)
・第3週:コンセプトC(3種類のサムネイルを3日間に分けて投稿)
投稿条件の統一。テストの信頼性を高める鉄則
正確なデータを得るために、以下の条件を厳密に統一します。
投稿時間の統一
・同じ曜日、同じ時間帯に投稿する(例:毎週月・水・金の19:00)
・ターゲット層が最もアクティブな時間を事前にインサイトで確認
・朝型のターゲット(経営者など)なら7:00-9:00、主婦層なら10:00-14:00など
投稿フォーマットの統一
・画像投稿なら全て画像投稿
・動画なら全て同じ長さ(15秒、30秒など)
・キャプション(本文)の文字数を同程度に揃える
ハッシュタグの統一
・全投稿で同じハッシュタグセットを使用
・タグ数も統一(例:全て10個)
・ただし、コンセプトに直接関係するタグは変更可
その他の統一要素
・投稿する曜日パターン(月曜・水曜・金曜など)
・フォロワー数が大きく変動しない期間内で完了させる
・外部要因(季節イベント、大型連休など)を避ける
計測すべき5つの重要指標。これで勝敗が決まる
各投稿について、以下の数値を必ず記録します。
1. インプレッション数(表示回数)
投稿がどれだけの人の画面に表示されたか。リーチの広さを測る基本指標。
2. エンゲージメント率
計算式:(いいね+コメント+保存+シェア)÷ インプレッション数 × 100
単なる表示ではなく、どれだけアクションを起こさせたか。
3. 保存数
特に重要な指標。
「後で見返したい」「役立つ」と思われた証拠。購買意欲の高さと相関する傾向がある。
4. プロフィールアクセス数
コンセプトに興味を持ち、「この人は誰?」と調べた数。購買プロセスの次のステップへ進んだ証拠。
5. リンククリック数(ある場合)
プロフィールのリンクや投稿内リンクのクリック数。最も購買に近いアクション。
データ記録用スプレッドシートの作成
以下のような表を用意して、全投稿のデータを記録します。
| 投稿日 | コンセプト | サムネイル | インプレッション | いいね | コメント | 保存 | シェア | エンゲージメント率 | プロフィール遷移 | リンククリック |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 9/1 19:00 | A | パターン① | 1,245 | 87 | 12 | 34 | 5 | 11.1% | 23 | 8 |
| 9/3 19:00 | A | パターン② | 1,180 | 92 | 15 | 41 | 7 | 13.1% | 31 | 12 |
データ分析。何を見るべきか
ステップ1:コンセプトレベルでの比較
各コンセプトの3投稿の平均値を算出し、比較します。
例:
・コンセプトA:平均エンゲージメント率 12.3%、平均保存数 38 ・コンセプトB:平均エンゲージメント率 15.7%、平均保存数 52 ・コンセプトC:平均エンゲージメント率 9.8%、平均保存数 28
この場合、コンセプトBが最も市場に受け入れられていると判断できます。
ステップ2:サムネイルパターンの分析
勝ちコンセプトの中で、どのビジュアル表現が最も効果的だったかを確認します。
ステップ3:質的データの確認
・コメント内容を読み、顧客の言葉をメモする ・どんな質問が多いか、どんな懸念があるかを把握 ・この情報は後のサービス設計・販売トークに活用
ステップ4:属性別の分析(可能であれば)
・Instagram Insightsなどで見られる視聴者の属性データを確認 ・想定ターゲットと実際に反応した層がずれていないか検証
テスト実施時の注意点。失敗を恐れるな
反応が悪いコンセプトが見つかることは「成功」です。
間違ったコンセプトで事業を進めるリスクを回避できた証拠。
テスト結果の活用方法。ここから本当の勝負が始まる
1. 最も反応が良かったコンセプトを採用する
ただし、以下の点も考慮しましょう:
・反応は良いが、自社の強みと合致しているか ・長期的に継続可能なコンセプトか ・収益性の高い顧客層が反応しているか
2. キャッチコピー・肩書きの最終決定
勝ちコンセプトのサムネイルで使用した文言を、そのまま自社のキャッチコピーや肩書きに採用しましょう。
すでに市場で検証済みの言葉なので、高確率で機能します。
3. Webサイト・LP・Xヘッダーのデザインに反映
最も反応が良かったビジュアルスタイルを、他のマーケティング素材にも展開しましょう。
4. コンテンツ戦略の立案
・保存数が多かった投稿の内容を深掘りしたコンテンツを作成 ・コメントで多かった質問に答えるコンテンツシリーズを企画
応用編。より精度の高いテスト手法
Meta広告を活用した加速テスト
各投稿に少額(1投稿あたり500-1,000円)の広告費をかけて、より早く大量のデータを収集する方法もあります。
メリット:
・短期間(数日)で結果が出る ・より多くのサンプル数で統計的信頼性が高まる
設定のポイント:
・全投稿に同額の広告費を投入 ・テキストのみのクリエイティブにする(重要) ・ターゲティング条件を完全に統一 ・自動最適化をオフにして、条件を固定
プラットフォームごとのテスト
同じコンセプトでも、Instagram、Facebook、Twitter(X)など、プラットフォームによって反応が異なる場合があります。
主要なプラットフォームでそれぞれテストすることで、より正確な市場理解が得られます。
まとめ。コンセプトテストが事業成功の分岐点
多くの経営者・個人事業主は、自分の「直感」や「やりたいこと」でコンセプトを決めてしまいます。
しかし、実際に市場に出してテストすれば、想定と現実のギャップが明確になります。
「直感」で降りてきたアイデアで時間とエネルギーとお金をかけてサービスを作るのは絶対にやめましょう。死にます。
このSNSコンセプトテストは、わずか3週間と最小限のコストで実施できる、最も費用対効果の高い市場調査です。
本格的にサービスを立ち上げる前に、必ず実施することを強く推奨します。
成功が約束されているサービスコンセプトで、あなたのビジネスを始めましょう。


